異世界恋愛 完結・全30話

王都の縁談を二十年まとめてきた仲立ち、本日限りで店じまいいたします ~断る理由を書いた帳面はお渡ししましたが、お読みにならないようです~

アクア 2026/08/16 公開 2026/09/07 08:30 更新

あらすじ

二十年、王都の婚礼は、私の帳面の上で決まってまいりました。

この家は酒。この家は支払いが三月遅れます。この娘さんは、姑と同じ屋根では暮らせません。あの家の次男は、朝が一切だめでございます。

仲立ちの仕事は、縁を結ぶことではございません。結ばない理由を知っていることでございます。

私が伺いますのは、家格ではございません。三つだけです。

朝、いちばん先に起きるのはどなたか。その手が、いちばん長くしているお仕事は何か。お困りのとき、いちばん先に誰へおっしゃるか。

刻は違うほうがよろしゅうございます。手も違うほうが。頼り先だけは、同じでないと持ちません。

私はマルティーヌ。十八の年から、王都アンブロワで仲立ちを二十年務めました。

ですが、後見をお継ぎになった若い縁組頭さまは、こうおっしゃいました。

「陰口の帳面など要らん。釣り合いなど、家格を見れば分かる」

「ようございます。では、本日限りで」

私は規定どおり、一月前に予告し、引き継ぎを三度申し出て、三度お断りいただき、帳面を三部そろえて店を畳みました。役所へ一部、公証人へ一部、私の控えが一部でございます。

移りました先は、縁談が十年、一件もまとまっていない貧しい領でございます。

若い領主さまは、面接の席でこうおっしゃいました。

「お支払いできるのは、畑の実りぶんです。ですが、まとまらなかった縁のぶんも、お支払いします。あなたが断ってくださった縁こそ、お仕事ですから」

――ようございます。ここを、私の店にいたしましょう。

一方、王都では。家格だけで組んだ縁が、順番に壊れております。

王都が無能なのではありません。あの方は有能で、壊れたあとの始末は誰よりお早い。ただ、壊れる前に断ることだけが、どうしてもできない。断る理由を、お読みになっていないからです。

――ところで。

私の帳面には、一頁だけ、二十年、白いままの頁がございます。

私自身の釣書でございます。

他人さまの縁でしたら、いくらでも結んでまいりましたのに。自分の縁となりますと、断る理由しか思いつかないのでございます。

ポイント

総合ポイント 58
日間ポイント 0
日間ランクイン [未取得]
最高順位 [未取得]
評価ポイント 3865.5% ブクマ×2 2034.5%

日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。

読者の反応

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ブクマと評価ポイントの推移

10/27〜11/02(7日間)
ブクマ 10+0(7日間)
11 10 9 10/27 10/30 11/02
評価ポイント 38+0(7日間)
39 38 37 10/27 10/30 11/02

日別の値

新しい順・下の段は前日比
日付 ブクマ 評価P
11/02 10 ±0 38 ±0
11/01 10 ±0 38 ±0
10/31 10 ±0 38 ±0
10/30 10 ±0 38 ±0
10/29 10 ±0 38 ±0
10/28 10 ±0 38 ±0
10/27 10 ±0 38 ±0

「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。

総合ランキングの推移

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