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hael 2026/11/02 公開 2026/11/02 18:16 更新
巨大都市・灰都。高層ビルが立ち並び、地下鉄が街の隅々まで走り、昼夜を問わず人々が行き交うこの街では、誰もが昨日と同じ今日を過ごしている。
中学三年生の神谷湊も、その一人だった。幼なじみで恋人になった白石澪と、学校へ通い、他愛のない会話を交わし、いつもと変わらない日々を送っていた。
ただ、灰都には昔から、いくつか奇妙な噂がある。
深夜になると駅の案内板から名前が消えること。存在しない階段が古い建物に残っていること。午前三時になると、街中の時計が一瞬だけ止まること。
誰もが知っているのに、誰も気に留めない。湊も、それらを都市にありがちな噂だと思っていた。
ある日の帰り道、湊は地下鉄の路線図に見覚えのない駅名を見つける。
「第零地下駅」
澪に尋ねても、そんな駅は見えないと言う。翌日には、その駅名は跡形もなく消えていた。
それから、街の小さな異変が少しずつ増えていく。
いつもの道なのに、帰り着けない。知っているはずの景色に、見たことのない建物が混じっている。人々の記憶から、ある場所だけが静かに抜け落ちていく。
やがて湊は気づき始める。
この街がおかしくなったのではない。
自分たちが、ずっと何かの中にいたのかもしれない。
そして灰都の地下深くで、誰にも知られずに続いていた「何か」が、ゆっくりとその姿を現し始める。
それが何なのか。なぜこの街に存在するのか。人間に理解できるものなのか。
その答えを知ろうとすること自体が、すでに間違いなのかもしれない。
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