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みえない糸 2026/05/04 公開 2026/05/11 21:30 更新
資源が枯渇し、地上も海も死に絶えた未来。
人類はシェルターに閉じこもり、現実を捨て、VRの中でのみ他者と繋がっていた。
言葉はデータとなり、会話は脳波で完結する。
誰も声を発さず、声帯という器官は退化し、
世界から「声」という概念そのものが消えつつあった。
そんな世界で、貧困層の人間だけが、
猛毒に満ちた死の海へ潜り、過去の遺産を採掘して生き延びている。
14歳の少女ミナも、その一人だった。
ある日、海底で事故に遭い、深い海溝へと落ちたミナは、
死を覚悟したその瞬間、“歌”を聞く。
それはVRのように整えられたものではない、
不完全で、揺らぎ、確かに“そこに在る”音だった。
やがて自らの死期を悟ったミナは、
もう一度その歌を求め、再び海溝へと身を投じる。
沈黙に満ちた深海の底。
そこで彼女が出会ったのは、
絶滅したはずの存在——白鯨の群れだった。
少女は初めて声を振り絞り、
その歌に応え、そして——静かに命を終える。
後に発見された彼女の遺した“声”は、
聴く者すべての心を揺さぶり、
忘れられていた「生きる意味」を呼び覚ます。
これは、
声を失った世界で、
たった一人、声を残した少女の物語。
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