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熾星 2026/06/08 公開 2026/06/08 14:31 更新
二日酔いで目を覚ました瞬間、森川遥は自分の頭が野球バットで殴られたみたいだと思った。
どうにか上半身を起こすと、視界はぼんやりと灰色がかっていた。カーテンは半分だけ閉まっていて、空気には見覚えのない洗剤の匂いが混じっている。
数秒ぼうっとしてから、ようやく気づいた。
ここは、自分の部屋じゃない。
昨夜の記憶は、雨に濡れた紙みたいに、しわくちゃのまま少しだけ浮かび上がってきて、すぐにまた破れていった。
恵比寿の小さな居酒屋に行ったこと。
たくさんお酒を飲んだこと。
泣いたこと。
誰かが、自分の名前を呼んでいたこと。
それから——。
「森川さん」
若くて澄んだ声がした。
少しだけ寝起きのかすれを含んだ声。
遥は全身をこわばらせ、ゆっくりと振り向いた。
隣に、男の子が寝ていた。
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