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多幸 2026/09/27 公開 2026/10/25 14:32 更新
昔々、あるところに。
亀を助けた浦島太郎がいました。
鬼を退治した桃太郎がいました。
恩返しをした鶴がいました。
そんな誰もが知る昔話。
しかし、その物語には、語られることのなかった真実がありました。
――昔話とは、宝具の存在を隠すために語り継がれた物語だったのです。
そして、今々、あるところに。
一人の男がいました。
名前は阿倍野浩二。
仕事が嫌いで、面倒事が嫌いで、できることなら何もせずに暮らしたい男です。
そんな男が、ある日、釣りの最中に一匹の亀と出会いました。
亀から渡されたのは、薄汚れた箱。
その名も《玉手箱》。
捨てても捨てても戻ってくる、奇妙な箱でした。
ところが、その箱をネットに出品したところ、なんと一億円の値がついてしまいます。
これで一生遊んで暮らせる。
そう思った阿倍野でしたが、彼の前に、自らを選ばれた英雄と名乗る男が現れました。
《きびだんご》を操る、現代の桃太郎です。
さらに、鶴に変身するドジな女や、赤いエプロンを着た大男まで現れて――。
どうやら、この世界には昔話に登場する不思議な道具が、今も存在しているようです。
宝具を集める者。
宝具を奪う者。
宝具に選ばれた者。
それぞれの思惑が交錯する中、阿倍野が望むものは、ただ一つ。
「一億円もらって、仕事辞めてぇ」
英雄になりたいわけでも、世界を救いたいわけでもありません。
そもそも、昔話の真実になんて興味がないのです。
これは、昔話の宝具に選ばれた者たちが繰り広げる、少しおかしな現代の御伽噺。
今語ろうじゃないか
めでたし、めでたし。
――で、終わればよかったのですが。
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