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玻璃ヰト 2026/10/23 公開 2026/10/23 23:11 更新
昭和五十年代初頭。スマホもコンビニもなく、夜になれば本当の暗闇が町を包んでいた時代。
中学二年生だった「私」の聖域は、生徒が自分しかいない古い民家の個人学習塾だった。
しかしある秋の日、同じクラスの目立たない女子・田所さんが入塾してきたことで、孤独で静かだった日常は一変する。
「女の子一人で帰すのは危ない。大通りまで送ってやれ」
塾長の気まぐれな一言から始まった、週に二回の秘密の帰り道。
言葉も少なく、ただ暗い砂利道を歩くだけの十数分間。それでも、触れそうな手のひらの熱や暗闇の中の沈黙に、私は確かに甘い恋心を募らせていた。
そして迎えた受験直前の二月、雪の降る夜。
別々の高校へ進む彼女に想いを告げようと決意する私だったが――。
これは、五十年の時を経て老いた「私」が振り返る、決して色褪せることのないセピア色の初恋の記憶。
連絡先を簡単に交換できる現代ではもう味わえない、もどかしくも美しい青春のひとコマを描いたノスタルジック・ストーリー。
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