ヒューマンドラマ 短編

紙おむつアレルギーの夫は、初恋の相手の前では誰よりも育児上手だった

熾星 2026/10/14 公開 2026/10/14 16:02 更新

あらすじ

 息子が高熱を出した夜、私は夫に、紙おむつを替えるあいだだけ手を貸してほしいと頼んだ。

 一歳になったばかりの陽真は、触れるのが怖いほど身体が熱かった。下痢でおむつかぶれも悪化し、肌は赤くただれている。私が足を押さえてほしいと頼むと、夫の高瀬直哉は数歩離れたところで顔をしかめた。

「真帆、俺、紙おむつ触ると手が荒れるって前から言ってるだろ。皮膚科でも、なるべく触らないほうがいいって言われてるんだ。悪いけど、自分でやって」

 言い争っている最中、陽真の身体が急にこわばった。

 小さな手足が細かく震え、呼びかけても反応しない。唇の色まで変わっていくのを見て、私は紙おむつどころではなくなった。

 すぐに119番へ電話した。

 その夜、直哉はInstagramに一枚の写真を投稿していた。

 防毒マスク姿の自撮りだった。

「家の空気、もう無理」

 当時の私は、ただ育児から逃げたいだけなのだと思っていた。

 翌日、病院のおむつ交換スペースで彼を見るまでは。

 紙おむつに触ると手が荒れると言い続けていた男が、別の赤ちゃんのおむつを替えていた。

「ほら、きれいにしような。すぐ終わるから」

 慣れた手つきで肌を拭き、軟膏を塗り、新しい紙おむつをつけていく。

 隣に立っていたのは、直哉の元恋人、水野沙耶だった。

 直哉は手袋すらしていない。

 手の甲にも指にも、赤みはなかった。

 赤ちゃんを抱き上げる表情は穏やかで、陽真には一度も向けたことのない優しさに満ちていた。

 そこで、ようやく分かった。

 紙おむつアレルギーなんて、最初からなかった。

 直哉が嫌だったのは、紙おむつじゃない。

 私と陽真がいる生活そのものだった。

ポイント

総合ポイント 326
日間ポイント 10
日間ランクイン [未取得]
最高順位 [未取得]
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日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。

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ブクマと評価ポイントの推移

10/25〜10/31(7日間)
ブクマ 11+2(7日間)
12 11 10 9 10/25 10/28 10/31
評価ポイント 304+40(7日間)
300 280 10/25 10/28 10/31

日別の値

新しい順・下の段は前日比
日付 ブクマ 評価P
10/31 11 ±0 304 +10
10/30 11 +1 294 ±0
10/29 10 ±0 294 +18
10/28 10 ±0 276 ±0
10/27 10 ±0 276 +10
10/26 10 ±0 266 ±0
10/25 10 +1 266 +2

「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。

総合ランキングの推移

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