ハイファンタジー 連載中・全2話

【職人無双】無能と追放された「武具研ぎ師」、実はパーティーの全火力を支える《神代刻印の調律匠》だった件〜手入れを止めた途端、勇者の聖剣がダンジョン深層でポッキリ折れて大パニック!?〜

六井求真 2026/11/03 公開 2026/11/03 12:00 更新

あらすじ

「ただ剣を石で擦ってるだけの雑用係に、分け前を払う余裕はないんだよ!」

王都最強と謳われるS級パーティー紅蓮の覇剣を、維持費削減の名目で追放された専属研ぎ師のカイル。
リーダーの聖剣使いガイルと付与魔術師ロゼッタは、「俺たちの実力と硬化魔法があれば、泥臭い研ぎ師など不要だ」と嘲笑い、未払いの立替金37万8,000ゴールドすら踏み倒して彼を泥濘の路地へと放り出した。

だが、彼らは致命的な事実を知らなかった。
彼らが振るう高出力の神代魔導武具は、1日振るうだけで内部の魔力導管に猛毒の「魔力澱」が溜まり、刃先に0.03ミリの微細亀裂が無数に走る欠陥暴走兵器であることを。
そして、カイルが毎晩3時間、睡眠を削って7段階の天然砥石と聴診音叉で0.01ミリ単位の「調律」を施していたからこそ、本来の3倍の火力を安全に引き出せていたという事実を。

王都を去り、赤錆と煤の匂いが漂う鉱山都市カルデラへ流れ着いたカイルは、路地裏で「壊れた竜人」と蔑まれ、折れた黒鉄槍を抱えて震える半竜人の少女・セリアと出会う。
彼女の右腕を蝕む「0.4秒の魔力痙攣」と、槍の内部に詰まった呪詛の澱を聴診音叉で見抜いたカイルは、言った。

「泣くな。その槍も、お前の右腕も壊れちゃいない。――ただ、お前の呼吸に刃の重心が0.8グラム合っていないだけだ」

荒砥220番から超仕上げ天然砥石蒼霞(14,000番)までを滑らせる神業の研ぎと、筋繊維のクセに完璧に同期する重心調律。
カイルが研ぎ上げた瞬間、鉄くず同然だった黒鉄槍は「空気の分子すら音もなく切り裂く青白い鏡面魔槍」へと変貌し、セリアは迷宮の災害級魔獣を一閃で両断する!

一方、カイルを追い出した紅蓮の覇剣では。
素人処置の硬化魔法を重ね掛けした結果、武具の内部応力が臨界を突破。辺境伯が視察する地下28層の公開遠征の真っ最中、ガイルの『紅蓮魔剣』がドロドロに錆びついて根元からポッキリ折れ、パーティーは壊滅パニックに陥っていた――!

これは、誰にも理解されなかった孤高の研ぎ師が、一途な竜槍姫や毒舌ドワーフ娘と共に、研ぎ澄まされた職人技と熱々の『鍛冶場メシ』で世界最強の工房を築き上げる物語。

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