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よねさん 2026/10/17 公開 2026/10/18 19:01 更新
エレノア・アルヴェインは、物静かで知的、美しく淑やかな侯爵令嬢――として、社交界では知られている。
けれど、それはあくまで外向けの顔。
本当の彼女は、少々肝が据わりすぎていて、困っている者がいれば放っておけず、大切な人のためなら自分が前に出ることを躊躇わない。
そんな彼女をよく知る者たちは、社交界での評判を聞くたび、少しだけ複雑な顔をする。
そんなエレノアの婚約者となったのは、王国の第三王子レオンハルト。
先祖返りによって生まれ持った赤い瞳と、寡黙で容赦のない振る舞いから、人々に『魔王』と恐れられている王子だった。
けれど、エレノアは彼を恐れていない。
自分で選び、自分の意志で彼の隣に立つことを決めている。
そして迎えた婚約披露の日。
華やかな王城で、招待客たちは美しいエレノアを称賛する一方、その隣に立つレオンハルトへ冷たい視線を向ける。
それでも、エレノアは侯爵令嬢らしい穏やかな微笑を崩さない。
自分のことなら、何を言われても構わない。
少しくらいなら笑って聞き流せる。
けれど――大切な婚約者を馬鹿にされることだけは、話が別だった。
誰もが恐れる『魔王』と、その隣で静かに微笑む美しい侯爵令嬢。
けれど彼らは、まだ知らない。
この婚約で本当に怒らせてはいけないのが、いったいどちらなのかを。
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