エッセイ 完結・全58話

カナミ彗星—光は必ず届く

リンダ 2026/06/08 公開 2026/07/10 20:15 更新

あらすじ

石川県金沢市。主婦の真田栄子は、警察官の夫・圭一、天文部の娘・香奈美、弟の茂之と暮らしていた。平凡で温かな家庭だったが、栄子は子育てや家事への不安を一人で抱えていた。そんな時、職場の同僚から「子育て相談会」に誘われる。優しく話を聞いてくれる場に救われた栄子だったが、その背後には新興宗教団体《真光の輪》があった。

教団は「家族を救うため」「浄化のため」と言葉巧みに栄子を囲い込み、壺や祈祷料、教祖の本、献金などで多額の金を支払わせていく。食卓は貧しくなり、家族の会話も消えていく。圭一と香奈美は異変に気づき、被害対策弁護団や警察と連携しながら栄子を取り戻そうとする。

その最中、香奈美は天体観測で未知の天体を発見する。のちにそれは彗星と判明し、「カナミ彗星」と名付けられる。教団の“偽りの救い”に対し、香奈美が自分の目で確かめたその光は、真田家をつなぎ止める希望となる。

やがて教団の詐欺、脅迫、性的搾取が明るみに出て、刑事裁判と民事訴訟が始まる。栄子は法廷で「家族を守るためだと思わされた」と証言し、教団は崩壊へ向かう。しかし判決や賠償金では、壊れた信頼や失われた時間は戻らない。

それでも真田家は、少しずつ食卓を取り戻し、言葉を取り戻していく。二年後の夏、家族四人は夜空に輝くカナミ彗星を見上げる。傷は消えない。だが、光はある。これは、宗教被害で壊れかけた家族が、再び生き直す物語である。

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