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倉松青司 2026/08/16 公開 2026/08/24 14:12 更新
王宮の片隅にある「記録管理局・第十三倉庫」。そこは、誰も読まない古文書や神魔の条約が山積する、王宮内でも屈指の閑職・窓際部署である。
左遷された平社員アルトは、ただ定時で帰るために、山積する「ゴミ」とされていた書類を淡々と事務処理し、ファイリングし続けていた。しかし、彼が適当にハンコを押して処理していた書類の中身は、「世界滅亡のトリガーとなる神魔の不可侵条約」や「魔王軍の侵略許可証」といった、大陸の運命を左右する超重要機密ばかり。
アルトが事務的な正論で書類の不備を突き、再提出を命じるたびに、神々は慌てふためき、魔王軍は撤退し、英雄たちは過労死を回避して平伏する。本人は「めんどくさい仕事を片付けて定時で帰りたいだけ」の一般人。しかし、周囲はそんな彼を「世界のすべてを裏で操る伝説の最高管理者」と誤解し、神も魔王も、そして王国までもが、アルトのハンコ一つに一喜一憂するようになる。
最強の事務処理スキルと無気力な社畜魂で、今日もアルトは書類を捌く。
「……終わった。さて、定時だ。帰ってスープでも飲もう」
世界の命運は誰の手にも握られていない。彼の事務机の上にあるだけだ。
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