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リーシャ 2026/06/24 公開 2026/06/28 06:00 更新
「魔王様に婚約破棄されるなんて、お姉様も落ちぶれたものね」
きらびやかな夜会会場。妹のユーイが勝ち誇ったように笑い、私の婚約者であった魔王マティウスに身を寄せた。
「ティルリカ、君のような可愛げのない女は魔王妃にふさわしくない。私は聖女の力を持つユーイを選ぶ。これからは、隅っこで私の幸せを指をくわえて見ているがいい」
冷酷な眼差し。実の両親さえも「家名の恥だ」と蔑んでいる。大きなショックを受けた瞬間に脳内に、濁流のような記憶が流れ込んできた。
(……は?何この既視感。生意気なツラは見覚えがある)
蘇ったのは数千年前に当代の魔王こいつを産み育て、甘やかし、時には厳しく教育した先代魔王の妻としての記憶。目の前でふんぞり返っているこの男は己の息子。しかも、死んだあとに甘やかされて育ったせいでこんなに性格のねじ曲がったバカ息子になっていたなんて。
「……誰が、誰の幸せを指をくわえて見るって?」
放つ魔圧のプレッシャーに会場の空気が凍りつき、マティウスが顔を引きつらせる。
「不敬な態度はなんだ!私は魔王だぞ!」
「魔王?笑わせないで。離乳食を吐き出して泣き喚いていた子がよくもまあ偉そうになったもの」
ドレスの裾をまくり上げると、呆然とするマティウスの頬を思い切り張り倒した。
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