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熾星 2026/07/21 公開 2026/07/21 15:08 更新
柳司兄さんは、人間ではないのかもしれない。
私が初めてそう思ったのは、彼の日記をこっそり見つけてしまった日のことだった。指先が表紙に触れた瞬間、視界の端に、読者コメントみたいな文字が一行ずつ流れ始めた。
【かな、そろそろ気づいて。柳司は恋愛を邪魔してるんじゃなくて、嫉妬でおかしくなってるだけだから】
【でも、柳司があの日道端で出会った小さな黒蛇だって、かなはいつ気づくんだろう】
【気づかないほうがいいかも。あのとき、かなは棒で殴って、柳司を蛇神様のところへ送りかけたし】
【人の姿に戻った柳司、おでこに大きなたんこぶ作ってたのに、かなに鏡餅みたいって言われてたよね】
私はその文字を凝視したまま、日記帳に触れた指を動かせなくなった。
次の瞬間、扉が開いた。
本来なら地方へ出張しているはずの神代柳司が、戸口に立っていた。彼の視線は私を越え、机の上の日記帳へ落ちている。
「もう大学生なのに、まだ部屋を間違えるの?」
私は顔を上げ、乾いた笑みを浮かべた。
「すごい偶然だね、柳司兄さん。こんなところで会うなんて」
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