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うめよろし 2026/10/14 公開 2026/10/30 00:14 更新
かつて、この世界では、力ある者が弱き者を支配し、知識や技術は一部の人間に独占されていた。
そのような世界に、一つの理想を掲げる国が生まれた。ノアリアである。
ノアリアは、武力ではなく、教育、農業、医療、建築、研究、芸術を通じて、人々が安心して暮らせる社会を築こうとした。かつて奴隷だった者たちの願いを礎とし、貧しい土地には肥沃な土を運び、読み書きのできない人々には物語を通じて知識を伝えた。
しかし、理想だけでは国を守れない。
隣国のタリスは、希少な鉱物資源と強大な軍事力を持つ大国だった。軍事力によって秩序を維持し、属州から税を集め、交易路や資源を掌握していた。一方、ノアリアは知識と技術によって文明を育てていた。異なる理念を持つ両国は、互いに不足するものを補い合う関係にあった。
ノアリアは各地へ派遣民を送り、農地や水路の改良、疫病の予防、読み書きや技術の教育を行った。土地の事情に応じた支援によって人々の自立を促し、各地の生産力を高めていった。やがてノアリアの製品や知識を求める市場は広がり、武力ではなく、人々に必要とされることで文明の中心となる道が開かれた。
だが、発展とともに新たな問題も生じた。他国の知識に頼ることは、自立を失うことなのか。人々を守る制度が、自由を奪うものにならないか。善意から生まれた仕組みを、誰が管理し、その責任を負うのか。
これらの問いは、支援を受ける国々だけでなく、ノアリア自身にも突きつけられていく。理想を掲げるだけでは、理想を守り続けることはできない。ノアリアは、自らが築いた文明と制度をいかに維持し、人々の自由と暮らしを守るのか、試されることになった。
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