ハイファンタジー 短編

『聖女様が抜けた穴は三箇所ございます』――天空大聖堂の構造計算を十二年担ってきた私、保守契約を解除いたしますね ~前世持ちの構造屋は依頼主を選ぶ~

uta 2026/10/05 公開 2026/10/05 19:00 更新

あらすじ

「お前は聖女じゃない。ただの計算係だろう?」

地上二千メートルに浮かぶ天空大聖堂〈アウロラ〉。その浮遊祭壇で、わたくしは婚約破棄を言い渡されました。相手は大司教補オルド様。悪意はございません。この方は本当に、わたくしを「解放してやっている」とお思いなのです。

十二年間、帳面を書き写すだけの地味な記録係。――ええ、周囲はそう思っております。

ですが前世のわたくしは、過労死した建築構造設計士でした。毎晩ランプ片手に回廊を歩いていたのは写経ではございません。香炉台を四センチ北へずらし、荷重を数え、この大聖堂が落ちないよう支えていたのです。当たり前を守る仕事は、成功しても誰にも見えません。前世でも、今世でも。

ですから、わたくしは微笑んで申し上げました。

「本日付で、聖務記録係の職を辞させていただきます」

三百年前の保守契約、第九条。『記録係が職を離れた場合、浮力維持責任は教会側に移る』――読まずに署名なさった音は、三百年続いた均衡が切れる音でございました。

聖女様の祈りは、たしかに光ります。けれどあれは照明です。浮力ではございません。

大聖堂に空いた穴は、三箇所。さて、どなたが埋めてくださるのでしょうか。

泣きわめかず、復讐もせず、ただ淡々と見積書を差し出す。構造屋は依頼主を選びます。

「追加調査は、別途見積もりとさせていただきますね」

静かに効く、ざまぁと再評価の物語。

ポイント

総合ポイント 40
日間ポイント 0
日間ランクイン [未取得]
最高順位 [未取得]
評価ポイント 3895% ブクマ×2 25%

日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。

読者の反応

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9.50
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ブクマと評価ポイントの推移

10/25〜10/31(7日間)
ブクマ 1+1(7日間)
2 1 0 10/25 10/28 10/31
評価ポイント 38+10(7日間)
39 38 37 10/25 10/28 10/31

日別の値

新しい順・下の段は前日比
日付 ブクマ 評価P
10/31 1 ±0 38 ±0
10/30 1 ±0 38 ±0
10/29 1 ±0 38 ±0
10/28 1 ±0 38 ±0
10/27 1 ±0 38 ±0
10/26 1 ±0 38 ±0
10/25 1 +1 38 +10

「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。

総合ランキングの推移

順位を読み込んでいます…