ハイファンタジー 連載中・全4話

やがて終曲は訪れる

寿司サーモンとろろ蕎麦 2016/12/16 公開 2019/03/13 18:49 更新

あらすじ

英雄に憧れ、自分も成りたいと願い、努力し、目標に近づき、壁にぶつかり、友に助けられ、乗り越え、成長し、自分も友を助け、お互い成長し、護るべき人を見つけ、最後は自分の憧れの人を越え、自分が後世に名を残す英雄になり、最愛の人との子が今度は自分の様な英雄を目指す。

ーーそんな幻想、予定調和の王道は存在してはならないーー

夢を抱き最善の努力をし葛藤や誘い、試練などを物ともせず、清廉潔白、品行方正で原初の願いを叶え、己の最高の幸せを手に入れる

ーーそんなものは御伽の中でしかありえないーー

もしそんな狂った人生を歩める者がいたとすればそれは人の本能が欠如した選ばれし狂人だけだ。

人の本質は脆く、卑しく、強欲で不遜、そして利己的。
凡人がいかに清い夢や願望を持っていても実際目指す過程で欲に目が眩む者、挫折し立ち上がれぬ者、いつしか夢が変貌している者が殆どだ。
では一体何故そうなるのか、理由は明快。
成長する程自身と憧れとの差は明確になり、狂人の思想が理解出来なくなるからだ。

やっとの思いで一歩進む、だが憧れは二歩進む。何かを犠牲に二歩進む、憧れは己を犠牲に六歩快進。死を覚悟し四歩進むと、覚悟が足りんと十歩邁進。
歩いても走っても追いつけない、そんな永遠に抜け出す事が出来ない無量地獄に凡人が耐えられるはずが無い。

英雄は己の目標、信念の為なら己でさえ犠牲に出来る、否、それどころか家族や友人、愛ですら切り捨てる。
民の為、民の為と言い放ち、幾千の屍の上に立てる精神を生まれながらにして持ち合わせ、平気で皆の為と宣い殺人を正当化出来るのだ。
そんな事が出来る思想、精神を持つ事は出来ない、持ちたいなどと思う事すら有りえない。

これはそんな選ばれし狂人に憧れた一人の少年が、理想に近づく為戦場に足を踏み入れ、現実との差に苦悩し、理想に近づく為に理想を捨て、遅効性の毒の様に、夢が蝕まれ、変貌してゆき、そして気付いた時には己の原初の渇望と背反した英雄殺しという名の英雄へと堕ちた、主人公にはなれなかった敗者の物語。

英雄の資質を持たぬ者が英雄を目指した先に何があるのか、そして其処まで堕ちてなお少年は何を成し遂げたかったのか。
唯一つ分かっている事はこの物語の先にハッピーエンドは存在しない。

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