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いぬのこ 2026/01/02 公開 2026/10/30 23:14 更新
陰キャでぼっちで社畜な「俺」は、気づけば見知らぬ世界の森の泉になっていた。
名前も顔も手足もなく、文明もない水底で、孤独と退屈を紛らわすため、かつての趣味――“造形”に没頭する。
理想と妄執と性癖を詰め込んだ等身大の美少女フィギュアを作り続けた末、いつしか意識はその器へ移っていた。
外見は美しい水の精霊。中身は口が悪く、卑屈で悲観的な元男。
そんな「俺」の泉を訪れたのは、黒い禍いに蝕まれた瀕死の男だった。
言葉も通じぬまま穢れを浄化し、水を与え、斧を返しただけ――のはずが、男はすべてを女神の奇跡と使命だと受け取る。
やがて彼は聖者アイオリスとなり、名もなき泉の精霊を「女神イズミール」として世界へ知らしめていく。
噂は伝説へ。伝説は信仰へ。
巡礼者、商人、権力者が集まり、辺境の泉は巨大な聖地へ変わっていく。
祈られるほど水と奇跡は増し、「慈悲深い女神」の心が「俺」の内側に生まれ、身代わりに造った分体さえ御子として崇められていく。
他人の信じる女神へ染められても、「俺」は俺でいられるのか。
人々が求めるのは世界を救う女神。
だがアイオリスだけは、その奥で悪態をつき、怯え、逃げ続ける「俺」へ手を伸ばす。
女の姿でも、自分は男のはずなのに。
相手も男なのに。
これは信仰か、恋か。
そうして二人がすれ違い続ける間にも、世界を蝕む黒い禍いは広がり、女神の水と黄金の奇跡は、やがて聖地だけでなく世界全体へと広がっていく。
これは、事故と勘違いから生まれた偽りの女神が、押しつけられた神話も、救った人々も、増えた家族も、愛した男も、すべて自分のものとして引き受けるまでの物語。
外から見れば、女神と聖者の世界救済神話。
内側から見れば、湿っぽい元社畜とジメジメ重たい男の、勘違いと逃走と自己否定まみれの異類婚姻譚。
勘違いから始まった神話は、やがて世界を救う本物の神話になる。
■お知らせ
2026.6.13本編完結(ep120=119話)
現在は後日談・外伝・別視点などを展開中。
ノクターンにも短編(Deluxe Lewd Content)あり〼
2026.10.16
4章に渡った外典と結びの章で、最終話前後の大きな話を書ききったので一旦完結済にしました。
つづく
■各話タイトル末尾
挿絵★/イズミール視点〇/アイオリス視点◇/その他視点◆/あとがきおまけ△
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