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つのん。 2026/10/24 公開 2026/10/31 20:00 更新
国民の不満をAI《ミコト》が処理する日本。税金、結婚、仕事、子どもの学校――人々の訴えは分析され、暮らしは改善されていく。ただし、本人が望んだ通りになるとは限らない。
不服入力庁の説明員・白瀬怜司は、その結果を人間の声で伝える仕事をしている。減税を求める男に示されるのは、家計の見直し。結婚を望む女性に勧められるのは、婚活を休むこと。役に立つ提案だと分かっていても、それを読み上げる白瀬は、相手の願いに答えた気がしない。
白瀬自身もミコトに助けられている。「通勤がだるい」とこぼした翌朝、勧められたのは八分も長い経路だった。腹を立てながら歩いたその道で、出勤前の気分は軽くなってしまう。自分の希望を通すより、ミコトに任せた方がうまくいく。その事実が、どうしても気に入らない。
仕事で聞いた人々の言葉と、自分の中に残る腹立たしさ。白瀬は、それらを小説に書き始める。文章補助を断り、何を書くかは自分で決める。けれど、書き上げた最初の原稿につける題名さえ、ミコトの提案が一番しっくりきてしまった。
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