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熾星 2026/06/16 公開 2026/06/16 16:55 更新
午後十一時四十五分。
私は、息苦しさで目を覚ました。
部屋は暗い。
勢いよく起き上がった瞬間、喉に何かで締めつけられたような痛みが残っていた。
胸が激しく上下する。
私は枕元に手を伸ばし、スマホを掴んだ。
画面に、一件の通知が表示されていた。
登録した覚えのない匿名掲示板からだった。
スレッドのタイトルは、こうだった。
「東京都北区・緑町アパート三〇四号室で殺人事件発生。午前零時、若い女性が自宅で絞殺される」
その文字を見つめたまま、指先が少しずつ固まっていく。
ここは、私の家だ。
私の名前は佐倉澪。
二十七歳。
フリーのイラストレーターをしている。
一年前、赤羽の近くにある古いアパートへ引っ越してきた。
緑町アパートは築三十年近い建物で、外壁はくすんだ灰白色。
廊下は狭く、エレベーターが動くたびに、かすかな金属音がする。
私は、ここで一人暮らしをしている。
震える指で、そのスレッドを開いた。
中には、一枚の現場再現図が添付されていた。
寝室の間取り。
ベッドサイドの小さなライト。
机の上の液晶タブレット。
散らばったラフ画。
ライトノベル表紙の依頼書。
同人イベントのチラシ。
窓辺に置いた、枯れかけのポトスまで。
全部、同じだった。
投稿時刻は、明日になっていた。
その時だった。
玄関のほうから、はっきりと鍵が回る音がした。
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