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千枝幹音 2025/07/14 公開 2025/07/21 17:20 更新
5年半前――マスメディアの在り方に疑問を呈し若者たちから支持を集めていた、とあるネット配信者がいた。ある日その配信者は官民癒着の取材に臨んだが、その最中に現場で転落死したとのニュースが流れた。
事故でなく殺人事件だと信じて疑わない若者たちは、政府の隠蔽体質を激しく批判。報道の透明性を訴える『清廉情報思想』が台頭した。そうした社会的圧力により、国はAIによる報道システム『パンゲア』の導入を余儀なくされる。
これが後に報道革命と名付けられた一連の社会運動である。
清廉情報思想派はいつしか“アオ”と自称するようになり、反対に政府や大手メディアによる検閲された既存の報道体制を支持する思想は“シロ”と呼ばれるようになった。そうして世間の思想分断は加速し、アオにもシロにも属さない中道の主張は2色の間をとって“ソラ”と呼ばれ、「空っぽ」などと揶揄されるほどに軽蔑の対象となっていた。
ソラ色の記者だった橘乙郎(たちばないつろう)は激変する報道業界に嫌気が差し、勤めていた出版社の倒産を機にタクシードライバーへと転職した。その後、個人タクシーを開業するにあたり役所を訪ねていると、そこで鷹野菖(たかのあやめ)と名乗る不思議なチカラを持った家出少女と出会う。
行く当てのない菖を営業所に住み込ませることになり、乙郎と彼女との奇妙な共同生活が始まる。
タクシーに乗せる様々なお客様に触発され、刺激される記者時代の過去。菖が上京した目的である“ワスレモノ”の真相。大きな動きを見せるこの国の社会運動。それらが複雑に絡み合う中で、乙郎はかつて抱いていたジャーナリズムともう一度向き合っていく。
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