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日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。
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九葉(くずは) 2026/02/27 公開 2026/03/02 11:16 更新
誰かの代わりでしか、必要とされたことがない。
北方の凍土に嫁いだ子爵家の次女メルルは、姉の身代わりだった。
父に告げられた言葉は、たった一言。
お前でいい。
婚姻の相手は、氷の将軍と呼ばれる辺境伯。
夫婦の実態は求めない、三年で終わる契約だった。
泣いても仕方がない。
メルルには前の人生で培った料理の腕がある。
荒れ果てた砦の厨房を見た瞬間、涙の代わりに袖をまくった。
塩漬け肉と硬いパンしかなかった食卓が、変わり始める。
兵士たちの顔に笑みが戻り、脱走兵がいなくなり、志願者が増えた。
将軍は何も言わない。
ただ、毎日の皿だけが空になっていく。
深夜の厨房に薪をくべる影。
風邪の朝、扉の前に置かれた誰かのマント。
言葉をくれない人が、行動だけを重ねていく。
メルルが気づかないうちに、砦は変わっていた。
けれど契約の終わりは確実に近づいている。
そして実家から届いた一通の手紙が、全てを揺らす。
姉の婚約が決まった。
本来の花嫁を送るから、お前は帰れ。
料理で誰かを支えることしかできなかった娘が、初めて自分の居場所を問われる。
この砦に残る理由を、彼女はまだ持っていない。
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