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IORI 2026/09/26 公開 2026/09/27 00:17 更新
2026年、日本。
大手ゼネコンに勤める相馬直人、38歳。
彼には、子どもの頃から追い続けてきた夢があった。
――軌道エレベーターを、この手で建設すること。
SFを愛し、「宇宙へ行く側ではなく、宇宙への道を造る側になる」と決めた直人は、その夢のために建設会社へ入った。
橋梁、海洋構造物、超高層建築、制振技術、特殊構造。
様々な現場を経験しながら、誰に命じられたわけでもなく、十五年以上にわたって軌道エレベーターの建設方法を研究し続けてきた。
そんなある日。
一本の電話が、彼の人生を変える。
「相馬君。あなた、まだ宇宙エレベーターやってる?」
長年、実現を阻んできた最大の壁――テザー材料。
その常識を覆す新素材が、日本の研究チームによって生み出されたのだ。
夢物語だった軌道エレベーターが、初めて「建設できるかもしれない構造物」へ変わる。
だが、全長約十万キロにも及ぶ人類史上最大の建造物は、一人の天才にも、一企業にも、一国にも造ることはできない。
建設候補地は赤道直下、キリバス共和国。
日本政府、各国政府、研究機関、宇宙機関、建設会社、素材メーカー。
異なる国籍、異なる文化、異なる利害を持つ人々が、一つの計画へ集まっていく。
その一方で待ち受けるのは、材料欠陥、テザー振動、海洋災害、宇宙デブリ、施工事故、資金難、国際政治、技術流出、世論の反発。
そして、二十四年にも及ぶ建設期間。
直人自身にも、妻・沙織と娘・結衣との生活がある。
夢を追えば追うほど、帰るべき場所から遠ざかっていく。
それでも、造る。
地上から宇宙へ。
人類が歩いて渡れる、新しい道を。
これは、宇宙へ行く英雄の物語ではない。
宇宙への道を造ろうとした、建設屋たちの物語。
――人は、自分の人生より長い夢を、それでも造り続けることができるのか。
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