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megu 2026/05/22 公開 2026/10/30 21:00 更新
「帳面係はいらない」
婚約破棄を告げた王太子に、リディアは答えた。
「おめでとうございます、殿下。では、私も今夜で辞めます」
六年間、王宮の灯も朝湯も、彼女の冷たい右手が支えていた。仕事は「奉仕」で、給金は一枚もない。
自分の契約を撤回して王宮を出た翌朝、殿下の朝湯は水になった。
そんな彼女に声をかけた北の公爵アレクシスは、手の傷を見ていた。
差し出された契約は三十日。帰る日は、彼女が決める。
給金を下げてほしいと頼むと、なぜか一枚増やされ、夜食を出す条項まで加わった。
王都から来た使いは、受け取りの紙に名を書けと言う。署名欄だけが、冷たかった。
北で待っていたのは、濁った井戸と、王都からの帰還命令。
井戸を読み、命令には条件書で返事をする。書く紙は、もう自分で選ぶ。
熱いスープを冷まさず飲めるようになったリディアは、不器用な雇い主の笑い声を、もう一度聞きたくなる。
全150話・毎日更新。
(旧題:婚約破棄された祝福契約官、王家の奇跡をお返しします)
【旧版を読まれた方へ】
2026年10月4日に第1〜90話を改稿版へ差し替えました。第91話以降も改稿版の続きです。
読み直す際は、第1話からお進みください。
https://ncode.syosetu.com/n6562mf/1/
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