異世界恋愛 短編

王都の空で竜王が泣いている。「わが子を返せ」と聞き取れるのは、婚約者に気味が悪いと言われたわたしだけでした

八咫烏葵 2026/11/05 公開 2026/11/05 19:10 更新

あらすじ

「竜の声が聞こえるなんて、気味が悪い。人前で二度と竜の話をするな。聞こえないふりをしていろ」
伯爵令嬢シルヴィは、幼いころから竜の声が聞こえる。魔女と噂された曾祖母と同じ力を、母に言われるまま、ずっと隠してきた。

百年に一度、建国の約束を確かめに、竜王が王都の空を飛ぶ建国祭。
降りてきた竜王は、怒り狂って吼え、鐘楼を炎で焼いた。人々に聞こえるのは、恐ろしい咆哮だけ。
でも、シルヴィの耳には、その奥の言葉が聞こえていた。
――わが子の卵の匂いがする。盗んだのは、誰だ。

「何も聞こえないな? 聞こえないと言え」
腕をつかむ婚約者の手は、なぜか小刻みにふるえていた。
怒れる竜王と話せるのは、七年前、厩で黒い竜の声を伝えた、あの日の竜騎士団長が覚えていた、わたしだけ。

※約1万字の読み切り短編です。ざまぁは軽め、最後は甘く終わります。

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