異世界恋愛 短編

耳の聞こえない氷の王太子が、わたしにだけ指で「ありがとう」と言いました

八咫烏葵 2026/11/04 公開 2026/11/04 19:10 更新

あらすじ

「今夜の宴では、君は笑っていればいい。北の国の話はするな。田舎くさいと笑われる」
婚約者フロランタンにそう言われて、伯爵令嬢エリアーヌは、隣国ヴェステルの王太子を迎える宴で、言いつけどおり笑って黙っていた。

ヴェステルの王太子オスカルは、子どものころの熱病で耳が聞こえない。王家に伝わる「指の言葉」で話し、お付きの老師が声に直す。笑わない彼は「氷の王太子」と呼ばれていた。
その老師が、宴の最中に熱で倒れた。殿下の指が何を言っているのか、広間の誰にも分からない。
「通訳がいなけりゃ、ただの置き物だ。指遊びでも見物しておけ」
婚約者の嘲りを、殿下の目は、唇の形で読んでいた。

殿下の指の言葉が分かるのは、北の国の侍女だった祖母に、テーブルの下でこっそり教わった、わたしだけ。

※約1万字の読み切り短編です。ざまぁは軽め、最後は甘く終わります。

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