異世界恋愛 短編

「お前との婚約は破棄する」と言われましたが、私は井戸管理課の職員なので、まず記録簿を確認させていただきます ~前世の水道局員、忘れ井戸の底から十二年分の鍵を引き上げる~

uta 2026/10/15 公開 2026/10/15 19:00 更新

あらすじ

「セリーヌ・ダウェル。お前との婚約は破棄する!」

華やかな夜会の中央で、婚約者ユルゲンが叫んだ。罪状は「忘れ井戸に彼の誓約鍵を投げ捨てた」こと――誓いを破った者の鍵が沈む、古い魔法の井戸。契約魔法への冒涜とされる大罪だ。

しかし糾弾された令嬢セリーヌは、腰の革鞄から一冊の帳簿を取り出した。

「――では、記録簿を確認させていただきます」

彼女は王国水源管理局・忘れ井戸管理課の職員。そして前世は、日本の市役所水道局で漏水調査を担当していた水道局員だった。六歳で前世を思い出して以来、十二年間ただの一日も欠かさず、水位・日付・天気を記録し続けてきた。

三日前の頁に記されていたのは、降雨も流入もないのに〇・三リン上昇した水位。鍵一本ぶんの、動かぬ変動。

「水は嘘をつかない」

帳簿も嘘をつかない。嘘をつくのは、人間だけ。

翌朝六時、彼女はいつも通り井戸の蓋を開ける。七十二歳の爺さんと、豆を数えてスープをよそう庶務のおばさんと、半分剥げた看板の小さな職場で。

やがて十五年ぶりの「底ざらい」が始まり、忘れ井戸の底から十二年分の沈んだ鍵が引き上げられたとき――誰が、何を、いつ捨てたのかが、静かに明らかになっていく。

声の大きい者が正しい社交界に、淡々と数字を積み上げる元水道局員が挑む、痛快にして温かな記録簿ざまぁ譚。

「水は待ってくれませんから」

ポイント

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日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。

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日別の値

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10/31 0 ±0 20 ±0
10/30 0 ±0 20 ±0
10/29 0 ±0 20 ±0
10/28 0 ±0 20 ±0
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「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。

総合ランキングの推移

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