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西津紀夫(のん太) 2021/05/09 公開 2021/05/09 09:00 更新
学生生活最後の夏休み、奈良へ旅行する日になって、突然、博多駅構内に由美子が現れた。彼女と会うのは、ほぼ-年ぶりであった。川中が知らせておいたのだろう。白いワンピースがひときわまぶしく感じられた。
私たちは駅構内の喫茶室で談笑しながら改札を待ったが、そこで、川中と由美子の間柄が以前に比べ、ずいぶん変わっていることに気づいた。由美子は川中のコーヒーに砂糖とミルクをさりげなく混ぜた。川中の好みを十分知りつくしていなければできることではない。
喫茶店から改札口まで歩く際も、由美子は川中の裾の乱れを整えた。
川中と由美子の間柄は、大阪へ向かう夜行列車の中で明らかになった。流れる町の灯をぼんやり眺めながら、川中と私はビッフェでビールを飲んでいた。
「まだ、だれにも話してないんだけど、卒業したら、オレ、結婚するつもりだ。生活力もなにもなくて、まだ早いとは思うけど……」
川中は恥ずかしそうに、頭を掻いた。【青春時代の移ろいやすい心のままを描いた作品】
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