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伊丹 宝 2026/07/04 公開 2026/07/09 05:00 更新
サンロード商店街で、早朝の通りすがりに一人の男の遺体が発見された。第一発見者は、同じ商店街に住む稲野正志。偶然の通報者であったはずの彼は、捜査の過程で次第に容疑者として疑われていく。
事件の捜査にあたるのは、ベテラン刑事・昆陽。冷静な観察眼で現場を読み解く彼は、稲野の無実を訴えるように現れた大学生・池尻悠人と出会う。池尻は「本を読むこと」が唯一の趣味であり特技でもある、物静かな青年だった。
やがて第二の殺人が発生。被害者は商店街の古書店「青葉堂」の店主。現場には不可解なメッセージが残されており、事件は単独の殺人から連続殺人へと変貌する。
捜査が進むにつれ、現場に残された脅迫状とメッセージが同一のプリンターで印字されていたことが判明し、事件は計画的な連続犯の存在を示し始める。さらに、青葉堂の店内から発見されたブリキ箱には、30年前の商店街火災に関する古い記録が残されていた。
そこには「事故ではない」という謎の言葉、そして当時の“真実”を示唆するノートが隠されていた。現在の殺人事件は、30年前に封じられた出来事と密接に結びついている可能性が浮かび上がる。
池尻は読書で得た知識と観察力をもとに、現場のわずかな違和感を積み上げながら真相へと近づいていく。一方で昆陽もまた、経験と直感を武器に、過去と現在をつなぐ線を追い始める。
やがて二人は、事件が単なる復讐ではなく、「記憶」と「隠された過去」をめぐる意図的な連鎖であることに気づいていく。そして明らかになるのは、30年前の火災で“何が起きたのか”ではなく、「誰がその真実を消したのか」という、より深い問いだった。
サンロード商店街に隠された記憶が暴かれるとき、池尻は“本を読む力”の本当の意味を知ることになる。
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