ヒューマンドラマ 短編

夫は私を「おしとやかな人形」に仕立てたくせに、赤いドレスの奔放な女に夢中になった

熾星 2026/09/22 公開 2026/09/22 16:00 更新

あらすじ

夫婦の時間を、またひとつ義務のように終えたあと、久世玲司は私に背を向け、スマホを手に取った。仕事のメッセージを確認する指は、さっきまで私に触れていたとは思えないほど淡々と動いていた。

 私はベッドの上でしばらく膝を抱えていた。それでも諦めきれず、そっと彼の肩に触れた。

「玲司、十分だけ話せない?」

 返事はなかった。

「結婚して三年、あなたに言われたことはできるだけ直してきたよ。訛りも、礼儀も、笑い方も歩き方も。でも……二人きりのときまで、どうしてそんなに遠いの? キスさえしてくれないじゃない」

 玲司は画面から目を上げなかった。

「紗和、明日の朝は役員会がある。今そういう話に付き合う余裕はない」

「十分も?」

「一分もない。出るならドアを閉めて」

 それ以来、私はこの話を口にしなくなった。

 数日後、三時間かけて煮込んだスープを持って書斎へ向かった。半開きのドアの向こうでは、新しく雇った住み込みの家政婦、相沢美羽が机の端に腰かけていた。

 美羽が笑いながら玲司の手を避けると、玲司はその手首をつかみ、自分のほうへ引き寄せた。

「さっきまでの威勢はどうした?」

 手から器が滑り、陶器は床に落ちて乾いた音を立てて砕けた。

 玲司は私を一度見ただけで、乱れたシャツをゆっくり整えた。

「その程度で取り乱すのか。今まで何を習ってきたんだ」

 視線が足元の破片へ落ちた。

「片づけて、出ていって」

 いつから二人がこうなったのか、私は聞かなかった。泣きもしなかった。

 ただその場にしゃがみ込み、割れた陶器を一片ずつ拾った。

ポイント

総合ポイント 306
日間ポイント 0
日間ランクイン [未取得]
最高順位 [未取得]
評価ポイント 29696.7% ブクマ×2 103.3%

日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。

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ブクマと評価ポイントの推移

10/25〜10/31(7日間)
ブクマ 5+1(7日間)
6 5 4 10/25 10/28 10/31
評価ポイント 296+22(7日間)
290 280 10/25 10/28 10/31

日別の値

新しい順・下の段は前日比
日付 ブクマ 評価P
10/31 5 ±0 296 ±0
10/30 5 ±0 296 ±0
10/29 5 ±0 296 ±0
10/28 5 ±0 296 +10
10/27 5 ±0 286 ±0
10/26 5 ±0 286 +12
10/25 5 +1 274 ±0

「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。

総合ランキングの推移

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