異世界恋愛 短編

「無能な君との婚約は破棄する」と笑われた夜、勝ったのは私でした――偽聖女の私が奇跡の正体に気づき、殿下の帳簿を差し出すまで【別視点・読切】

ろくさんだ 2026/08/24 公開 2026/08/24 00:50 更新

あらすじ

【スピンオフ/読みきり短編】
完結済み『『無能な君との婚約は破棄する』と笑われたので、「かしこまりました」と領地の全収入を持って出て行きました』の、
"捨てた側"――偽聖女マリエル視点で、本編と同じ日々を描いた一本です。本編未読でもお読みいただけます。

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「無能な君との婚約は破棄する」

 殿下がそう笑ったあの夜、殿下の腕の中にいたのは私でした。

 公爵令嬢セシリア様は取り乱しもせず、一礼して「かしこまりました」とだけ告げて去っていかれました。勝ったのは私のはずでした。

 けれど三枚目の銀板を使った朝、私は気づいてしまったのです。
 光が弱いのは、祈りが足りないからではない。板の残量が減っているからだ、と。

 私の「祝福」は奇跡ではなく、借り物の魔道具の作用でした。

 それでも私は、誰にも言わずに四枚目を使いました。ひざまずく人々へ、確かに届きましたと申し上げました。

 やがて王都から塩が消え、職人が去り、冬越しの税が三倍になりました。何が起きているのか、私には分かりません。分かるのは、祝福を求める列だけが伸びていくことだけでした。

 そして殿下が祭祀室の親板を引き抜いた日、王都の井戸は銀色に濁りました。配給水は、一人朝夕一杯。私の前に並んだのは、その水で腹を壊した子どもを抱えた親たちでした。

 私に治せるものは、何ひとつありませんでした。

 銀板一枚の実費は金貨九枚。帳簿には四十枚。差額は三十一枚。
 そして親板の修理費は、殿下の戴冠式の装飾費へ移されていました。

 修理されていれば、井戸は汚れなかったのです。

 私は善人になったのではありません。勇気を振り絞ったのでもありません。
 ただ、数えられてしまっただけでした。

ポイント

総合ポイント 18
日間ポイント 0
日間ランクイン [未取得]
最高順位 [未取得]
評価ポイント 1477.8% ブクマ×2 422.2%

日間ポイントは、なろうの18〜19時ごろの集計値です。

読者の反応

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ブクマと評価ポイントの推移

10/28〜11/03(7日間)
ブクマ 2+0(7日間)
3 2 1 10/28 10/31 11/03
評価ポイント 14+0(7日間)
15 14 13 10/28 10/31 11/03

日別の値

新しい順・下の段は前日比
日付 ブクマ 評価P
11/03 2 ±0 14 ±0
11/02 2 ±0 14 ±0
11/01 2 ±0 14 ±0
10/31 2 ±0 14 ±0
10/30 2 ±0 14 ±0
10/29 2 ±0 14 ±0
10/28 2 ±0 14 ±0

「全期間」は直近30日分までを表示します(リアルタイム表示では、これに現在値が加わります)。

総合ランキングの推移

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