空想科学 完結・全18話

生き残されし彼女たちの顛末 第1部 「一斉安楽死」を免れたわたしは、マオのインパクトが迫る中、大陸へ向かった

WK2013 2024/07/01 公開 2024/07/18 20:10 更新

あらすじ

 ……意識が戻ったわたしは、ロボット二体に抱えられてトラックの荷台に放り投げられた。2289年7月初め、一斉安楽死の死体処理が始まっていた。わたしは、咄嗟にトラックから飛び降りると、ロボットに見つからないように部屋へと戻った。
 6月30日の「最終日」。わたしは、残っていた何人かの知り合いと、別れの挨拶を交わした。家族は、選ばれて火星に移住した一人息子のオガワ・マモル以外は、すでに安楽死処置でこの世を去っていた。火星の息子に最後のメッセージを送ったその夜、わたし、ミヤマ・ヒカリはこの部屋で「享年28」の最期のときを迎えるはずだった。
生まれ育ったここネオ・トウキョウで、一斉安楽死処置の失敗例は、確率的におそらくわたし一人のはず。月に本部を置く国際連邦のマザーAIに知られたら、再び処置を施されるに違いない。どうしよう…
 かつて老占い師に言われた、「会いたいと思う者のところへ向かうとよい」という言葉を思い出した。会いに行ける可能性のある唯一の人物は、自分が生まれる前に大陸で行方不明になった、祖父のミヤマ・マモル。彼の写真と、その裏に書かれた「30115」の数字を手掛かりに、わたしは大陸へ向かうことにした。
 マリンビークルという小型船で、AIによる追跡が来ないうちにネオ・トウキョウを後にする。航海のお伴をするビークルを、わたしは「アルト」と呼ぶことにした。「30115」をもとに指定した「北緯30度、東経115度」の地点は「到達不能」。代わりに、最寄りのレフュージを目指して東シナ海を航行し、長江河口のネオ・シャンハイへ到着した。
第四次世界大戦後、寄るべき国を失い、核兵器、生物化学兵器で汚染された地上に残された約1億の民。彼らを収容すべく、国際連邦が建設した大型シェルターであるレフュージは、ネオ・トウキョウ、ネオ・シャンハイを含めて地球の30ヵ所に設置されていた。
レフュージの外には、国際連邦管轄外のAOR(Aliens Outside the Refuge)と呼ばれる居住民たちがいる。その大きなコミュニティーが、ネオ・シャンハイの対岸に存在することをアルトから聞かされ、わたしは長江を渡り、上海へ向かった……

※事情があって削除した長編を、少し再構成して、再び連載の形で公開します。

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