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日ノ 九鳥 2025/12/31 公開 2025/12/31 02:31 更新
目を覚ますと、俺は貴族令嬢の体になっていた。
異世界に転生したらしい。しかも、憑依先は金髪碧眼の美少女・クラリス。
困惑する俺に、頭の中で声が響いた。
『私の体を勝手に動かさないで』
なんと、体の持ち主クラリスの意識が残っていた。
彼女は俺に体の主導権を奪われ、意識だけが閉じ込められていたのだ。でも俺だって令嬢として生きるなんてゴメンだ。
「協力しましょう。解決策が見つかるまで」
こうして、奇妙な二人三脚が始まった。
ピアノの稽古、社交界のマナー、婚約者との会話――
クラリスの指示を受けながら、俺は令嬢を演じる日々を送る。
最初は苦痛だった。
でも、いつしか彼女との会話が楽しくなっていた。
いつも隣にいてくれる彼女が、愛おしくなっていた。
三ヶ月後、ついに解決策が見つかる。
俺の魂を別の器に移せば、クラリスは自由になれる。
「よかったな、クラリス」
体を返して、別れた。
これで全てが終わる――そう思っていた。
彼女に体を返し、俺の役目は終わった。
元の世界にも戻れない。この世界にも居場所はない。
ナイフを手に取った夜、彼女が叫んだ。
「もう、絶対にしないで!」
「だったら私の為に生きて。私はあなたに生きて傍にいてほしいの」
――彼女も、俺を愛していた。
性別も身分も違う。でも、彼女のためなら生きられる。
失ったものは多い。でも、未来は作れる。
愛する人のそばで。この世界で。二人で。
カクヨムとハーメルンでマルチ投稿してます。
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