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夕凪 鏡介 2026/07/20 公開 2026/07/29 23:11 更新
「本日をもちまして、車内販売サービスを終了いたします」
そのアナウンスを最後に仕事を失った元・新幹線パーサーの椿すずは、目を覚ますと、乗っていたはずの食堂車ごと異世界へ転生していた。
車内に宿る銀の精霊・チャイの案内で辿り着くのは、始発も終点もない環状の線路――環状霊脈線。すずは車両に「つばめ食堂」の暖簾を掲げ、各駅で出会う異種族の客の、たったひとつの悩みに、限られた在庫と土地の食材だけで応えていく。
チートも魔法もいらない。あるのは、揺れる車内で乗客の顔色を一瞬で読んできた観察眼と、「積めるものだけで、その日いちばんを出す」引き算の発想だけ。
湯気の立たない無人駅で、誰も来ない列車を待ち続ける老駅長に。父の味を忘れかけた娘に。一皿は、時に言葉より雄弁に、誰かの欠けた心を満たしていく。
終点のない線路の上で、すず自身もまた、自分がどこで降りればいいのかを、まだ知らない。
【椿すず】28歳。元・東海道新幹線の車内販売員。「人に何かを出すことしかできない、空っぽな人間」だと思い込んでいる。
【チャイ】食堂車に宿る付喪神。手のひらサイズの銀色の姿で、車内アナウンス調に次の駅を告げる、旅の狂言回し。
一話完結、読後感はあたたかめ。
次はどの駅で、あなたは何を食べますか?
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