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冷やし中華はじめました 2024/08/07 公開 2024/08/15 08:33 更新
大学院で社会学を専攻する中村健治は、「戦後日本の集団的記憶が個人のアイデンティティにどう影響したか」をテーマに研究を開始する。彼はオーラルヒストリーの手法を用い、元国鉄職員、就職氷河期世代、震災被災者、バブル崩壊を経験した元経営者など、様々な背景を持つ人々の「生きられた歴史」に耳を傾けていく。
当初、中村は学問的な客観性をもって彼らの声に接しようとする。しかし、高度経済成長期に正当な評価を得られなかった女性や、戦後史の狭間で生きてきた在日コリアン一世といった、公式の歴史からこぼれ落ちた人々の声に触れるうち、次第に自身の研究手法に疑問を抱き始める。特に、他者の痛みを「研究データ」として消費することへの倫理的な葛藤は、彼を深く苦しめる。
この内面的な葛藤は、客観性を重んじる指導教官との決定的な対立を招き、中村は学問の世界を捨て、自らの信じる道を進むことを決意する。大学を飛び出した彼は、単なる記録者ではなく、孤立した個々の記憶を繋ぎ合わせ、世代や立場を超えた対話を生み出す「織り手」としての役割を見出していく。
最終的に、中村は人々の声をありのままの形で社会に届けるため、ウェブサイト『集団的な記憶』を立ち上げる。サイト公開後、当事者からの感謝、社会からの無関心や匿名の批判など、様々な反響が寄せられる。世界を変えることはできなくとも、忘れられた声に寄り添い続けることの意義を噛み締めながら、中村は自身の静かな戦いがまだ始まったばかりであることを悟るのだった。
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