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陰東 紅祢 2026/08/09 公開 2026/09/23 22:17 更新
十七年、行方不明だったデルフォス王国の王女――リリアナを無事国に連れ帰ることに成功した騎士――レルムには、国の中でもごく一部の人間にしか知らされていない秘密がある。
「私の体は、昼夜で性別が入れ替わる呪いがかけられています」
南方の小さな村で、村医者の娘として育ってきたリリアナが、ペブリムによく懐き、レルムに淡い想いを抱いていることは理解している。
その彼女に、二人が同一人物だと言う事実を開示した時の胸中は、穏やかではなかった。
それでも、仕えるべき主に秘め事は許されないことも分かっていた。
そして、職務に生きることに生涯を捧げるレルムは、王妃の命によりリリアナ専属の護衛騎士に配される。
快活で明るく、簡単に心を明け渡し誰とでも仲良くなるリリアナをそばで見守る内、眼差しは常に彼女を捉え続けていた……。
――再び、誰かに心を明け渡すことはない。
レルムを頑なにそう思わせる、あまりにも深い心の闇には複雑な理由がある。
彼がなぜ、奇異な呪いを身に受けているのか。
彼を敵視し、挑発を続け、深手を負わせたリズリーとの関係はなんなのか。
彼が長年背負い続けている枷とは?
それらが開示されていく時、物語はまた一つ、ゆっくりと動き始める。
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