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黒十二色 2019/07/07 公開 2025/08/29 20:25 更新
自転車をよけてフェンスごと川に落ちた織原久遠(ラック)はいつの間にか異世界の草原にいた。転生者として自動召喚されたのだ。転生者であるからには、魔王を倒さねばならない。
――どうせ現実だっていいことなんてなかった。さあ冒険の始まりだ!
心機一転、歩き出そうとしたラックだった。
けれども始まりの町に足を踏み入れる前に山賊被害にあった。そのうえ、濡れ衣で逮捕され、村から出ることも禁じられた。これでは魔王を倒すどころではない。そもそも出鼻をくじかれ心折られて、旅立つ気も失ってしまった。
どんより引きこもり生活のなかで、習慣となったモブ狩り生活を続けていたラックだったが、やがて転機が訪れる。非常に高値で取引されるラストエリクサーを何ら苦労せず手に入れたのだ。
これを売ることで一気に金持ちになったラックは、味をしめてラストエリクサー転売業者を目指すことにした。
しかし転売なんてのは、うまくいかない、絶対にうまくいってはいけないものだ。あえなく『偽装』スキルを使った別の売り手にだまされてしまう。
悔しがるラックは『偽装』に対抗すべく、『鑑定』と『検査』のスキルを身に着けた。その結果、見事に信用を取り戻し、駆け出し商人としての生活に希望を抱いた。
運も上向いてきたか、といったところで、またしても悲劇が訪れる。
ラストエリクサーの価格が大暴落した。さらに追い打ちの税金取り立てを受け、借金生活に転落した。しかも、国家転覆容疑までかけられてしまった。指名手配を受けながら、追われるように旅立つことになった。
散々な目に遭うラックだったが、この不運に満ちた慌ただしい旅立ちは、彼にとって悪い事ばかりでもなかった。
レヴィアという少女に出会えたからだ。
そして、いつしか彼は、大いなる旅の目的を得る。
――何としても、レヴィアを俺の世界に連れて帰る!
ラックは、この願いを叶えるべく、『鑑定』と『検査』のスキルを磨き抜きながら、情けなくも、逆境の異世界マリーノーツを、仲間とともに生き抜いていく。
全313話+蛇足十数話。
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