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味のないお茶 2023/05/15 公開 2023/06/30 13:00 更新
海皇高校二年の俺は演劇部に所属している。
伝統ある部活ではあったが、五人の三年生が卒業してしまい、ひとつ上の先輩と同級生の部員が居ない演劇部は俺一人だけと言う廃部寸前の部活に様変わりしてしまった。
新学期。勧誘のビラ配りを一人でしていると、亜麻色の髪の毛を腰まで伸ばした、そんじょそこらのアイドルも裸足で逃げ出すような見た目の美少女が俺のビラを一枚手に取った。
「なるほど……演劇部ですか。私、演じることには自信があるんですよ」
「おぉ経験者だったのか。それは心強いな」
ニコリと笑う新入生に、俺はそう言葉を返した。
「それはそうと、先輩以外に人が見えないですけど……他の方は別の場所でビラ配りをしているんですか?」
小さく小首を傾げる後輩に、俺は苦笑いを浮かべなから答える。
「ははは……部員は俺一人なんだ。だから君が入部してくれると嬉しいよ」
「そうですか……先輩一人……」
後輩はそう言うと、俺の顔を見て小さく頷いた。
「わかりました!!私、入部します!!」
「本当か!!ありがとう!!」
思わず彼女の手を取る俺に、後輩ははにかみながら言葉を返す。
「えへへ……そんな強く手を握らないでください。照れちゃいますよ?」
「す、すまん……」
軽く謝罪をしてから手を離す俺に、後輩が言う。
「私の名前は、美澄 花梨(みすみ かりん)です」
「俺の名前は、山瀬 拓也(やませ たくや)だよ」
「えへへ。それじゃあこれからよろしくお願いします!!先輩!!」
ニコリと笑ってそう言う美澄に、『彼女目当てで男どもが沢山入部しに来そうだな』なんてことを俺は考えていた。
こうして、俺とどう見ても女の子にしか見えない美澄花梨の二人きりの演劇部活動がスタートした。
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