パニック 連載中・全1話

腐心者狩り

織田よしみ 2021/03/11 公開 2021/03/11 22:26 更新

あらすじ

"あなたの喜怒哀楽、感情を買います"

 都市伝説の一つとして出回っているよくある話だ。

 感情を買い取ると言って回っている男か女かもわからない、出現場所も全国様々であり、いつ声をかけられるかもわからない。

 無作為に選んで声をかけてくるのか、何かの共通点で選ばれてるのか?

 全ての情報がいまいちだった。

 「感情を買取ります……か、怒りや悲しみを買取って欲しいもんだぜ、まったくよ~」

 酒を飲み千鳥足になった男が、大通りから路地裏に入っていき、立ち小便を始めた。

 「そもそも、いくらで買い取ってくれるっていうんだよ」

──すいません。

 突然後ろから声をかけられ、ビクッと体が縮こまった。

 「私、感情を買い取りをしております夏菜と申します。あなたの感情でいらない感情はありませんか?」

 突然声をかけてきたのは、姿形は人間なのだが、目が黒目で白目がない女が立っていた。

 しかし、それ以外は至って普通……むしろ、豊満な胸に長い黒髪で、甘い香りを漂わせ、美人だ。

 「あ、あんたか!? 本当にいたのか! ははっ、本当にいるなんてな! で、いくらで買い取ってくれるんだよ? 出来るなら怒りや悲しみの感情を買取って欲しいもんなんだけどな!」

 男が、そう言うと腕が頭目掛け伸びてきて、男の頭の中に突っ込まれる。

「あっ……ああ……がっ」

 「ご要望通り、あなた様の感情を買い取らせていただきます、しかし現金ではございません。あなた様に力を与えます。感情なんていらないと思わせた人間、社会に復讐する為の力を……素晴らしいでしょ?」

 頭から腕を抜くと赤黒い玉を握りしめていて、満足そうに眺めてニヤニヤしている。

 「では、あなたのこれからの人生に幸あらんことを」

 「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーっ!!」

 あとに残された男は、全身が毛に覆われ始め、足の筋肉の肥大でズボンは破け、腕はぐんぐん伸び、さながらチンパンジーに似た生き物に姿をかえていった──

 「ちゃんと人間社会に復讐しなさい、坊や」

 ケタケタ笑いながら、建物を三角飛びしながら上へ上へと進み女は笑い声と異形の者を残し、その場をあとにした。

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