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とあるアルパカ 2025/06/20 公開 2025/12/18 17:00 更新
「やっぱり、もう無理かもな……」
望月レンは、シャッター通りと化した商店街の路地裏で、古びた看板を見上げていた。
“月光堂古書店”。祖父母が営んできた小さな本屋だ。今では来客もまばらで、書棚の埃の方が目立つ。
高校から帰宅したレンが扉を開けると、鈴の音が静かに鳴った。
「おかえり、レン」
奥のカウンターに座る祖父が、新聞から目を上げずに微笑む。だが、その手元の帳簿には赤字の文字が並んでいた。
――何をどうやっても、商売はもうダメかもしれない。
けれど。
(いや、まだ道はある。場所が変わるだけだ)
レンは制服のまま、自室のPC前に腰を下ろした。ディスプレイには、ログイン画面が浮かんでいる。
《オルタナ・クロニクル》――全世界ユーザー数1億人突破の、超人気VRMMORPG。
派手なスキル、壮大な戦争、伝説の武器……普通なら、プレイヤーは「勇者」や「剣士」などの戦闘職を選ぶだろう。
でもレンは、違った。
【職業選択】
──戦士/魔法使い/盗賊/僧侶/行商人(?)←
「これでいい。いや、“これじゃないと”」
クリックとともに、世界が切り替わる。
仮想の大地。喧騒と熱気に包まれた市場の街。
その片隅、ひとりの少年が布を広げて、木箱を並べた。
「いらっしゃい、安くするよ! ダンジョン帰りの皆さん、ポーション補充どうですか!」
誰も見向きもしないその声が、やがて世界の富を動かすものとなるとは、まだ誰も知らない。
何故か最前線で戦ったり、ポーション屋になったり、いろいろおかしいですけど彼は商人です
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