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瀬川 理久 2026/10/21 公開 2026/10/28 19:10 更新
王都経歴調査所。
王宮、騎士団、学院、商会から依頼を受け、重要な地位に就く人物の経歴が事実かどうかを確かめる調査所だ。
調査員クラウス・フェインのもとに持ち込まれたのは、《北境の竜殺し》と称えられる騎士マティアス・レーマンの副団長任用審査。
勲章もある。推薦状も山ほどある。
誰もが彼を英雄だと信じている。
だが推薦状を読み分けたクラウスは、一つの奇妙な事実に気づく。
――誰も、彼が竜を殺したところを見ていない。
さらに当日の記録を追うと、竜が斃れた時刻、マティアスが別の場所にいた可能性まで浮かび上がる。
しかも本人は、一度も「自分が竜を殺した」とは言っていなかった。
では、誰が彼を英雄にしたのか。
そして、その英雄譚の陰で、誰の名前が消されたのか。
証言、軍歴、配置記録、輸送記録、帳簿。
クラウスは一つずつ記録を照合し、「確認できた事実」だけを積み上げていく。
嘘を暴くためではない。
誰かを裁くためでもない。
何が事実だったのかを、正しい形で残すために。
記録と手続きから英雄譚をほどいていく、異世界職業ミステリー。
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