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シンドゥー 2025/12/25 公開 2026/07/29 21:30 更新
現代から三百年後。
第三次世界大戦後、世界は天理家によって支配されていた。
卓越した身体能力、磨き抜かれた武術、そして絶対的な政治権力。
かつて秩序の象徴だった「天理」の名は、長い支配の中で腐敗し、今では民衆に恐怖と服従を強いるものへと変わっていた。
天理久夜(てんりひさや)。
天理家に生まれた彼は、刃物を扱う鬼才だった。
だが、久夜にとって天理家は誇りではない。
血筋も、伝統も、家族さえも、彼の自由を縛る鎖だった。
「家族も、運命さえも、俺を縛ることはできない」
久夜は家を出る。
外の世界で彼が目にしたのは、ただの悪ではなかった。
人々の暮らしを支え、秩序を保ち、世界を動かすための仕組み。
だがその仕組みは、いつしか人を守るものではなく、人を縛るものへと変わっていた。
世界は壊れているのではない。
あまりにも正しく、天理家の望む形で動いていた。
だから久夜は、刃を取る。
復讐のためではない。
名誉のためでもない。
血と名前と運命に縛られた世界へ抗うために。
たとえ相手が家族であろうと。
たとえその刃が、天へ向かうことになろうとも。
自身の刃が天を引き裂く、その時まで。
この作品は「この虚空に咲く樹」「光を疑う花弁」と同列のシリーズです。
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