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ぽん 2026/10/21 公開 2026/10/21 22:21 更新
蓮にとって、紬は人生で一番大切な人だった。
一年近く想い続け、ようやく恋人になった二人。二、三年の月日を重ねるうちに、蓮は紬と過ごす日々を当たり前の幸せだと思うようになっていた。紬の静かな優しさと、言葉にしなくても伝わる安心感。いつか二人で同じ未来を歩いていけると、信じていた。
しかし、結婚を考え始めた頃、紬は「結婚したいと思えない」と告げ、二人の関係に終止符を打つ。
その後、紬の妊娠がわかった。生まれてくる小さな命を知った蓮は、もう一度、紬と向き合おうと決意する。結婚して一緒に育てていきたい。今度こそ彼女を支えたい。けれど、紬の答えは変わらなかった。
「友達以上には、ならないよ」
その言葉を受け入れきれないまま、蓮は紬と娘の陽菜を支え続ける。買い物をして、食事をして、ときには一緒に笑う。何気ない時間の中に幸せを感じるたび、蓮の心には小さな期待が生まれる。もしかしたら、いつかもう一度――。
けれど、優しさは必ずしも恋愛感情と同じではない。そばにいられることと、選ばれることも違う。蓮はやがて、自分の愛情が紬にとって重荷になっていないか、支えることの裏側に見返りを求めていないか、自分自身と向き合い始める。
過去の後悔を抱えながら、相手の気持ちを尊重すること。そして、答えの出ない未来を待つだけでなく、自分自身の人生も歩いていくこと。
もう一度、君の隣に立つ日は来るのだろうか。
これは、叶うかどうかわからない愛を抱えながら、大切な人の幸せと自分の幸せ、その両方を見つけようとする一人の男の物語。
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