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らいと 2026/09/09 公開 2026/09/09 10:54 更新
生活感のない六畳一間。
机の上に置かれた古いパソコンの前で、間宮真司は煙草を咥えていた。
壁際には、雑誌や新聞、取材で集めた資料が無造作に積まれている。
灰皿には、吸い殻が数本。
真司は煙を吐きながら、画面を眺めていた。
地方紙の小さな記事だった。
――会社員、高橋直人。三十四歳。
三日前、仕事を終えて会社を出たのを最後に、行方が分からなくなっている。
財布も携帯電話も持ったまま。
家族から捜索願が出され、警察が行方を捜している。
「……失踪か」
真司は煙草を指に挟んだ。
珍しい話ではない。
事件かもしれない。
事故かもしれない。
自分から姿を消した可能性だってある。
今のところ、記事にそれ以上のことは書かれていなかった。
真司はページを閉じようとした。
そのとき、記事の最後にある地名が目に入った。
高橋が最後に目撃された場所だった。
「……ここ」
見覚えがある。
真司は椅子の横に積まれた資料へ手を伸ばした。
二冊、三冊とどけて、下から古いファイルを引っ張り出す。
ページをめくる。
半年前の記事が挟まっていた。
――佐伯美咲。二十九歳。
仕事から帰宅する途中、行方不明。
真司はパソコンの画面と記事を見比べた。
高橋直人。
佐伯美咲。
年齢も違う。
性別も違う。
職業も違う。
ただ――
最後に目撃された場所が、近い。
「……偶然か」
真司はしばらく二つの記事を眺めていた。
やがて煙草を灰皿に押しつける。
立ち上がり、机の上に転がっていた財布と鍵を掴んだ。
「まあ、行ってみるか」
フリーランスのルポライター、間宮真司。
このときはまだ、
二人とも、ただの失踪者だった。
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