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那貴 2026/10/31 公開 2026/11/01 07:24 更新
大陸の中心には、底の見えない巨大な穴――「大穴」がある。その穴から漏れ出す|黒紫《こくし》の粒は大地を汚染し、魔獣を凶暴化させる。中心へ近づくほど気候は厳しく、土地は貧しく、世界は死へ近づいていく。
大穴のほとりの集落に生きる少年トージャは、黒紫への耐性を持つ民族の生まれ。戦士たちから一目置かれる斧の腕を持ちながら、彼が志すのは調合師だった。薬草と毒、魔獣と生態系を知り尽くし、いつの日か、世界に三冊だけ存在する調合書を手にし、大穴の先にあるとされる「全てを繋ぐ触媒(オールパウダー)」を持ち帰ること。それが彼の夢だった。
ある日、森での採集の帰り、トージャは血を流して倒れた少女を見つける。陶器のように白い肌、明るい色の髪。明らかに、外の人間だった。一族が外縁の人間を警戒するこの土地で、彼女を集落へ連れ帰ることはできない。彼は森の小屋に少女を隠し、たった一人で治療を始める――。
これは、大穴に最も近い土地で、最も遠い夢を追う調合師の物語。
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