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モチモチオ 2026/07/28 公開 2026/10/30 16:50 更新
モチオは帰ってきた。なぜか――それは暇だからニャ!!
前作『モチオ1』で美しく完結した(はずの)この小説。さあ、ネタ切れが先か、それとも読者に飽きられるのが先か。モチオは吠える。「俺は負けない!」と。
現代社会は、「正しさ」と「優しさ」のインフレに満ち溢れている。SNSを開けば「こうあるべきだ」という正論が飛び交い、カウンセリングルームでは共感と受容が丁寧にパッケージされて提供される。
綺麗事の裏で、現代人は相変わらずルッキズムに怯え、不登校の我が子に絶望し、クズ男に全財産をベットし、タワマンの虚栄心でマウントを叩き合っている。そんなドロドロとした現代の病理を、一匹の「とんでもない猫」が特大の暴論と狂気のギャグで文字通り粉砕していく物語――
それが『モチオ相談所』である。
主人公のモチオは、相談者に対して寄り添うことなど微塵もしない。
しかし、本書の恐ろしいところは、その荒唐無稽なギャグと暴論の奥底に、人間の業(ごう)と生存の真理をえぐるような鋭い解像度が隠されている点だ。
例えば、整形を夢見る少女に対しては「ルーツの否定」という残酷な現実を突きつけ、不登校の少年には「学校という狭い水槽から逃げろ、それは逃げではなく生存戦略だ」と利己的な理屈で救いの手を差し伸べる。
また、ダメ男にすがる女には「お前がしているのは人生を賭けた大博打だ」と、綺麗事をすべて剥ぎ取ったシビアな自立を迫る。 モチオがやっていることは、カウンセリングではない。
「毒を以て毒を制す」の極みであり、凝り固まった絶望を笑い飛ばすための過激なショック療法だ。相談者たちはモチオの圧倒的な理不尽さに直面することで、自分が囚われていた「ちっぽけな執着」や「歪んだ被害者意識」を強制的に客観視させられる。悩みという名の迷路から、無理やり引きずり出されるのだ。 そして何より、この作品がただの悪趣味なコメディで終わらないのは、その狂騒の陰に、がり勉猫、コツ勉猫、ネコロボといった仲間たちの冷徹な知性と、人間に対する不器用なまでの「諦念と愛」が通底しているからに他ならない。
――。本書を読み終えたとき、私たちは気づく。この下品で、理不尽で、最高に愛おしい狂気こそが、息苦しい現代を生き抜くための、最も痛快で、最も実践的な「社会処方箋」であるということに。
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