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まさる氏 2025/05/17 公開 2025/06/01 21:45 更新
コカ・コーラのひた隠しされているはじまりのおはなし
時代の影に、黒い泡が立ちのぼる。
**1886年、ジョージア州アトランタ。**
かつて戦火に焼かれたこの街は、今や金と薬にまみれ、
虚飾の光をまとっていた。
新聞の見出しは「奇跡の万能薬」であふれ、
街角には“痛みを忘れたい”者たちが群がる。
彼らが逃げたかったのは、
戦争の記憶。
貧しさの痛み。
そして、生きることそのものの重さだった。
その片隅で、かつて南軍の兵士だった**ジョン・ペンバートン**は、
漢方医として古びた研究室の中で黙々と調合を続けていた。
戦地で負った傷は癒えぬまま、
薬剤師として第二の人生を歩みながら、
彼もまた、時代の波に飲まれていた。
「人を癒すために薬を作りたい」
——その信念は、いつの間にか
「売れる薬を作るための調合」にすり替わっていた。
広告のために効能を盛り、
味をごまかし、
金のために“奇跡”を捏造する。
だが、そんな彼の身体に、静かに死が近づいていた。
「俺の時間は、もう長くない——」
ならば、最後に何を残すべきか?
人々が本当に求める“癒し”とは何か?
問いに導かれるように、彼はふたたびビーカーを手に取った。
**甘く、刺激的で、ほんのひととき苦しみを忘れさせる飲み物。**
それは薬ではなかった。
——しかし、薬以上に人の心を動かすものだった。
この一滴が、
やがて\*\*“コカ・コーラ”\*\*と呼ばれることになるとは、
彼自身、まだ知らない。
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