空想科学 完結・全17話

ヒナとローラと祈りと祝福と

IDM_plus 2026/01/24 公開 2026/01/29 00:59 更新

あらすじ

人類は次世代エネルギー源「パンミクシウム」によって地球文明を支えている。しかしパンミクシウムは、人類が触れると内に秘めた欲望や“未来への期待”に反応して形を変え、現実そのものを歪めてしまう危険な物質でもあった。地球人の「第二の地球が永遠に続いてほしい」という集団的な期待はアルファケンタウリの環境を地球型に変え、同時に欲望の具現「悪魔(マレブランケ)」を生み出す。マレブランケは欲望に従って暴れ、喰らい、さらにパンミクシウムを取り込み“終わり”を消して永遠を作ろうとする。
人類はパンミクシウム採掘のため、人工生命「天使」を投入し、マレブランケに対抗する軍事組織「九歌隊」を編成する。種子島コロニーは大規模採掘拠点であり、天使のメンタルケアを目的として地球の都市や学校、人生儀礼まで再現した“ミラー種子島”を抱える。しかし地球人は天使の心理やマレブランケの本質を理解しきれず、入学式などの儀礼が「新しい仲間、友達、未来への希望」を大量に生み、かえって因果偏位を増幅させてしまう。
外縁の小採掘施設「霧島サイトKRS-07」では、本来中心部で育成されるはずの女性型ヒューマノイド「力天使」が例外的に起動していた。中学生ほどの容貌と人格を持つ力天使ヒナは地球式の“学園”がある種子島コロニーに憧れている。そのきっかけは、地球から偶然つながった秘密通信の相手ローラの存在だった。ローラがこっそりアルファケンタウリへ送った通信がヒナに届いてしまったのだ。
霧島でローラの祈りを読んだヒナの中に“次”を求める感情が芽生え、因果偏位の増幅点となってしまう。祝福の形をまとったマレブランケが霧島に侵入し、ヒナたちに襲い掛かる。逃げ遅れた下級天使たちを助けようとしたヒナは隙を突かれ、致命傷寸前まで追い詰められるが、正規訓練を受けた力天使部隊の介入で救出される。
戦闘後、ヒナは霧島に残留し、下級天使たちと触れ合いながら、希望や祈りが時に災厄を呼ぶ現実と向き合う。一方地球では、ローラが入学式の帰りに教会でヒナの無事と“はじまりが終わらないこと”を祈る。その善意の祈りが、遠い星で悪魔を育て得るとは知らないまま。ヒナは「永遠」や「ずっと」を避け、“今日”だけを綴った手紙をローラへ送る。友情を続けたい気持ちと、未来への期待がマレブランケを呼ぶという矛盾の狭間で、ヒナは「正義」と「友情」を両立させる道を探し始める。

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