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羽柴秀吉(アローラのすがた) 2021/09/02 公開 2021/09/02 23:21 更新
神や仏が人と似たかたちを取っているのなら、邪なものもきっとそうなんだ。幼いながらに僕は感じていた。
眠るたびに見る夢。父親と同じ顔を持った大きな怪物が、母親と同じ顔を持った弱い獣を踏み潰して笑う夢。怪物の全長と同程度の直径しか持たない小さな惑星では逃げ場など無く、獣は苦痛に喘ぐしかない様子だった。その夢が幼い僕には何よりも悲しくて、恐ろしかった。だから大抵のことは我慢することができたと思う。
「かわいい子。本当に、お兄ちゃんより、お姉ちゃんより……」
僕が風呂から上がって体や頭を拭いていると、決まって母親が脱衣所に来た。僕が風呂を済ませる時間帯は決まって夕飯の少し前で、祖母は夕飯の準備で忙しく、祖父と父親は仕事終わりの酒をそれぞれ別室で楽しんでいる。8つ上の姉はアルバイトや部活があるので基本的に帰宅が遅い。6つ上の兄に至ってはそもそも家に寄り着かない不良少年であったから、僕に構う家族はいなかった。だから僕がどんなに「いやだよ、なんだかきもちわるい」と拒絶の声を上げても母親の興奮を煽るだけだったのだ。
「ぱくっ。ふふ。かわいいね。……べーっ、てして?」
拒絶しても無駄なのだと悟るのに大して時間は掛からなかったように思う。むしろ、これさえ我慢すれば母親の愛情を受けられるのでは、という期待さえあっただろう。
股ぐらを包む舌の感触も、口と鼻の中に広がる煙草の臭いも、そう思えば拒絶の意思は消えずとも堪えることができた。
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