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秋田 武史 2025/05/17 公開 2025/05/31 22:21 更新
貧民街で妹を抱きしめながら目覚めた“炎”──それは〈春宮灯花〉が王立魔法学院への扉を開く第一歩だった。幼い妹・美羽の病を治し、貧しい故郷を守るため、灯花は〈魂の共鳴〉と呼ばれる結界術を極めようと死にものぐるいで学び続ける。しかし学院は生まれと血筋を重んじる世界。首席候補の親友・天音、名門出のライバル・霧島遼との順位争いは、いつしか「家族を救いたい」という祈りを「誰よりも称賛されたい」という渇望へとねじ曲げていく。
深夜の研究塔で彼女の前に現れた“影法師”──それは自分自身の欲望が形を取ったものだった。禁断の〈紅蓮の契約〉を結んだ灯花は驚異的な力を得るも、その代償として心の闇に飲み込まれてゆく。迷宮演習、評議会の凍結勧告、そして研究塔崩壊――称賛の光を浴びるほど、彼女の炎は周囲と自身を同時に焼き焦がしていった。
やがて訪れる終章。紅蓮の火とともに散った灯花の“遺言”は、仲間たちに〈真の魔法とは自分と向き合う勇気だ〉と刻み込む。残された天音と遼は、彼女の研究と夢――貧民街を包む恒久結界〈永遠の暖炉〉――を完成させるべく歩み出す。灯りは消えない。たとえ炎の少女がいなくなっても、その火は次の誰かの心へと受け継がれてゆく。
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