童話 短編

尾(痛みと再生)

夏美 2026/10/31 公開 2026/10/31 20:37 更新

あらすじ

ある小さなヤモリがヘビに尻尾を噛まれてしまいましたが、尻尾を切り離すことでなんとか逃げ延びることができました。
それを見た一人の農夫が、小さなヤモリに言いました。
「かわいそうなちびすけ、尻尾が切れたばかりで、さぞ痛むだろう!」
小さなヤモリは涙を浮かべながら、こっくりと頷きました。
「さあ、包帯を巻いてあげよう。この薬草は痛みを止めるものだよ」
「いいえ、私はこの痛みに感謝しています。なぜなら、痛みのおかげで自分がまだ生きていると実感できるからです。それに、もし傷口を包んでしまったら、どうやって新しい尻尾を生やすことができるでしょうか?」
そう言い残すと、小さなヤモリはズキズキとする激しい痛みを抱えながら、どこかへ這っていきました。
苦痛が人々に もたらすものは、必ずしもマイナスの影響だけとは限りません。時には、苦痛の中にこそ希望が育まれていることもあるのです。
痛みを感じられるということは、まだ感覚があり、生き抜く希望が残されているという証拠なのです。

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